きみと夏まつり
5題-3.ふわふわあまい
「毎度、おおきになぁ」
お祭りに行く途中で、左之さんと一緒に鶴屋に寄った。
えみさんは少し前に例の簪をくれた「ええ人」と所帯をもったようで、
すごく幸せそうな最近の笑顔は本当に天女みたいだ。
いつもどおり私はみたらしの串団子を。
左之さんは磯辺団子を食べながらぷらぷらと歩いてお祭りへと向かう。
不意に頭の上から声がした。
「おい」
立ち止まって見上げてみる。
「うん?」
「ほっぺにタレついてんぞ」
どこだろうと思って頬を探ると、にやと笑った左之さんの顔が近づいてきた。
何事?! と思った刹那、赤い舌がぺろりと私の口の端を舐めた。
「わわっ!」
吃驚して真っ赤になった私をにやにやと覗き込みながら、左之さんはすました顔で言った。
「なんだ、今日の団子はいつもより甘えなぁ」