刹那見つめ合ったまま空気が止まった。
私の頬に添えられる手、
まっすぐから見つめる瞳に思わず目を閉じた。
「あれ、期待した?」
慌てて目を開ければすずしい顔をした沖田さん。
嵌められた!と思ったところに頬が熱くなった。
責めるように上目で口を尖らせながら、拳を軽く握って振り上げる。
「もう、沖田さんのばか!大嫌い」
「はいはい、ごめんごめん」
愉快そうに笑うと、振り下ろした私の拳を手のひらでうけとめてぐいっと引っ張る。
「あっ……」
体ごと、彼に抱き留められて見上げれば、すぐ目の前に沖田さんの顔。
見る間に迫ってきた沖田さんは一寸ほどの距離を開けて止まる。
まだからかうように、笑いながら。
「お詫び、居る?」
悔しいので、ぐいっと背伸びをして私からその距離を縮めてやった。