無題
5題-1.大好きだからとカノジョは泣いた
「なんでそんなに泣くんですか」
「……大好きだから」
そう答えた私の涙を山南さんは唇で優しく拭った。
「貴方が心を痛める必要はないんですよ」
でも、山南さんが何かを思い悩んでいることを知っていて。
それでも私は何の力にもなることなど出来なくて。
「これは私の問題ですから」
いつもと同じ柔らかい微笑みを私に与えて、
私の髪に瞼にいつも通りの口付けをくれる、
あなたの腕の中はいつも温かくて。
「貴方にはいつも笑っていて欲しい」
そう言った、あなたは翌日永遠に私の前から消えた。