無題

5題-1.大好きだからとカノジョは泣いた






「なんでそんなに泣くんですか」
「……大好きだから」

そう答えた私の涙を山南さんは唇で優しく拭った。

「貴方が心を痛める必要はないんですよ」

でも、山南さんが何かを思い悩んでいることを知っていて。
それでも私は何の力にもなることなど出来なくて。

「これは私の問題ですから」

いつもと同じ柔らかい微笑みを私に与えて、
私の髪に瞼にいつも通りの口付けをくれる、
あなたの腕の中はいつも温かくて。

「貴方にはいつも笑っていて欲しい」

そう言った、あなたは翌日永遠に私の前から消えた。






24.5.15
現世の夢


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