共に眠る
5題-3.鼓動は子守唄
荒い息を整えながら、原田さんは体を起こして私の体を拭き清めてくれる。
お布団の中、くたんと力の抜けた私はただぼんやりとそれを見つめていて。
恥ずかしいけれど、こういう原田さんの丁寧な仕草の一つひとつに愛情を感じてしまうのが、
実のところ嬉しくて、けっこう好きであったりもして。
見上げてる私の目が合うと、綺麗な目を細めて、
「ん、なんだぁ。物足りなかったか?」
「そんなわけが……ぐったりです」
意地悪にそうやって訊いてくるくせに、次に大きな掌が降ってきて、くしゃりと一つ頭を撫でた。
そうして、もう一度横になって布団をかけ直すと自分の胸の方に私の体を抱き寄せる。
自分の方からも身を寄せて、頭を原田さんの胸に置いた。
「ねぇ……とくんとくんって聞こえる」
「ん?心の臓の音か」
「うん……なんだかすごい落ち着く」
「はは、赤ン坊みたいだなお前」
などと言う原田さんの手が伸びてきて、私の乳房の間に収まった。
「俺の手の中にお前の音も響いてるぜ」
「うん」
お互いのとくんとくんを聴きながら、瞼を閉じる。
いつの間にかとくんとくんの音と一緒に流れ出した意識が二つ、夜の闇の彼方へと手をつないで流れていった。